虫歯って放置しても治ることってあるの?
「虫歯になってしまったかも。痛みがなくなったけどもしかして治ったの?というか虫歯って放置しても治ることってあるの?」と気になること、ありませんか?結論からいうと、虫歯を放置して治ることはありません。「昨日は痛かったけど、今日は痛くない」というようなケースの場合、その虫歯はたいてい治っていません(むしろひどくなっている可能性が…!)。
虫歯を放置して治ることはありませんが、歯の自己修復機能によって“自然治癒で治す”ことは可能な場合があります。どういうケースで自己修復が可能なのか、逆にどういうケースでは自己修復ができないのか、そして自己修復で虫歯を治すためには何をしたらいいのか、詳しく解説していきます。
放置しても治らない虫歯と対処法
放置しても治らないケースとは?
まずは「絶対に自然治癒しない」ケースから説明しましょう。歯に黒い/茶色い点がある場合や、穴が開いている場合、すでに痛みを生じているような虫歯の場合、放置して自然治癒することは絶対にありません(下図のC1以降のケース)。これらのケースの場合、治す方法は「歯医者で歯を削る」という方法だけです。
なんで痛みが急になくなったりするの?
「明らかに虫歯があって、昨日までズキズキしていたんだけど、しばらく痛みがなくなった。これって治ってるんじゃないの?」…と思うことがあるかもしれませんが違います。虫歯はそもそも痛くなったり、痛みがやんだりしながら進行していくものです。さらに「あるときからぱったりと痛みがなくなった」という場合、事態はより深刻です。それ、歯の神経が壊死してしまった可能性が高いです。いずれにしても痛みがなくなるという減少はあまり好ましい状態ではありません。
放置しても治らない虫歯の対処法は?
歯に黒い/茶色い点がある、痛みがある、という場合の対処法はただひとつ。早急に歯医者さんに行って適切な治療を受けてください。放置すると虫歯がさらに進行するだけです。
自然治癒しない虫歯を放置するとどうなるの?
虫歯はさらに進行します。たとえばあなたの虫歯が「小さな黒い点があって、わずかに穴が開いている」状態だったとします。放置すると穴はどんどん大きく深くなり、いずれ神経に達します。すると刺すような痛みやズキズキした痛みを一時的に感じるようになります(歯髄炎の初期症状)。さらに進行すると「急性歯髄炎」という状態になり、以下のような痛みが継続して出るようになります
- 刺激がなくても持続的にズキズキする強い痛み
- 夜間や横になると痛みが増すことがある(血流の変化により炎症が悪化)
- 温かいものに反応して痛みが悪化することがある
普通であればこのあたりで痛みに耐えられなくなって歯医者に行くものですが、この状態を市販の鎮痛剤で乗り切ってしまうとさらに事態は深刻化します。神経が完全に破壊されて壊死し、温かさも冷たさも、痛みもなにもかも感じなくなります。
「痛くなくなったからまあいっか!」などと間違っても思ってはいけません。虫歯はさらに進行し「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」を発症します。根尖性歯周炎とは、歯の根の先端(根尖)周囲の歯周組織に炎症が起こる疾患で、虫歯が歯の根っこすら貫いて顎骨に炎症を起こした状態です。
ここまでいってもまだ虫歯の進行は止まりません。歯の根の先端に起こった炎症はさらに大きくなり、顎骨内で巨大な嚢胞を形成するようになります。そして細菌や毒素は血管を通じて体中にばらまかれ、心内膜炎、脳腫瘍、腎炎・腎潰瘍、骨髄炎、敗血症などの重篤な症状を引き起こします。これらの症状の恐ろしさについて詳しく説明するのはやめておきますが…まあ最悪の場合、死に至ります。余談ですが、昔は「虫歯が原因で亡くなる」ということもよくあることでした。虫歯は命を落とす可能性もある、とても怖い病気なんです。
今すぐ歯医者へGO!
- 黒い/茶色い点がある
- 歯に穴が開いている
- 痛みがある(痛くなくなったりもする)
こんな症状があったら赤信号。今すぐ歯医者さんに行きましょう。今すぐ!
削らず治せるケースと治療法
白濁虫歯(初期虫歯)は削らず治せるかも!
放置して治る、ということはないのですが、ごく初期の虫歯は削らずに治すことができます(治らないこともあります)。虫歯は、歯のエナメル質が虫歯菌によって「脱灰」されることから始まります。この「脱灰」の具体的な症状が「歯の白濁」なのですが、このような初期の虫歯は歯を「再石灰化」することで治すことができます(できないこともあります。)。穴が開いていない、黒い/茶色い点がない、痛みがない、という状態なら、まだチャンスはあります!適切な治療と自己管理で自然治癒を目指しましょう。
治療①:リカルデントの使用
リカルデント(Recaldent)は、歯の再石灰化を助けるための成分で、主にカゼインリン酸カルシウム(CPP-ACP)から作られています。この成分は歯の再石灰化に必要なカルシウムとリン酸を歯の表面に供給します。歯医者さんで専用歯磨き粉やリンスのようなものを処方してもらえると思うので、それを使うようにしましょう。食後にリカルデントガムを噛むのも有効です。
治療②:フッ素塗布
フッ素はエナメル質に取り込まれ、カルシウムやリンと結びつき、フルオロアパタイトというミネラル成分を形成します。簡単に言うと「歯の再石灰化を促進する薬剤」です。こちらも専用歯磨き粉を処方してもらうか、市販のフッ素入り歯磨き粉を使うようにしましょう。歯医者さんで直接塗ってくれたりもします。
口腔内の自己管理を改善しよう!
虫歯の主要な原因は、糖質を好む虫歯菌です。この菌は糖質を代謝して「酸」を作り出し、これが歯のエナメル質を徐々に溶かすことによって虫歯は始まります。再石化によって白濁虫歯(初期虫歯)を治すには(つまり「再石灰化」>「脱灰」とするには)、「酸を抑制する」という観点がとても大切です。以下に挙げることに取り組むようにしましょう。
- 食事のあとは歯磨きする
- 頻繁に口を水ですすぐ
- 糖分の接種を減らす、間食を減らす
白濁虫歯かな?と感じたら…
白濁している歯を見つけたら、できる限り早めに歯医者さんにいき、治療をしてもらいましょう。今どき「初期虫歯を削って治す」などという古い先生はいないとは思うのですが…心配できない場合、近くに安心できる歯医者がない場合はぜひ当院にお越しください。できる限り削らず治す方法をご提案します。
加藤歯科クリニック
について
加藤歯科クリニックは中村橋の一般歯科・小児歯科です。お口まわりのどんな症状・悩みも診療します。「急な痛み」や「被せ物の脱離」など、今すぐ処置が必要な患者様を予約なしで受け入れています。お困りの方はお電話ください。